低い声で呟く

横浜市内在住、オタクな3児の母によるブログです。

「タカハシくん優柔不断」

アメトーーーーーークの「女の子苦手芸人」で、ケンドーコバヤシ氏が少女漫画について言及していました。いつもヒロインの側で力になってくれる男の子は報われないと。

あー、そんなだったかな?暫く「少女漫画」に分類されそうな漫画は読んでいないんだけど。

家にある「こどものおもちゃ」は違うよなぁ、羽山はそういう立ち位置も兼ねているしと思ったけど、直澄君とかがそうですかねぇ。

 

角川書店のドラゴンコミックスなので少女漫画とは言えないと思いますが、新井理恵先生の「タカハシくん優柔不断」は、そうはならないのです。報われるんですよ。まぁ、主人公は表題にある「タカハシくん」で、彼にとっては不幸な結末(自業自得)です。以下、端折りながら粗筋を。

 

「どうして好きな相手とドキドキする相手が同一人物とは限らないんだろう」というモノローグから始まります。

主人公の高橋浩平は高校生です。

 

近所に住む幼なじみの萌奈美が毎朝迎えにきます。夜には電話が掛かって来ます。

萌奈美のペースに呑まれつつ、仲良く登校しているように見えます。そんな様子を、同級生の不良・岩井(と桑原)が冷やかします。

「浩平が好きなのは岡崎先生でしょ!」と萌奈美。そこに担任・岡崎麻耶が登場。岩井の軽口をさらっと受け流します。

 

以上から、高橋の「好きな相手」と「ドキドキする相手」がわかったでしょうか?

 

実は、高橋と麻耶は婚約中で、既に高橋の実家で同居しています。

萌奈美は、いろんな意味で「ドキドキする相手」。迎えの時間がどんどん早くなるのも、「好きなのは岡崎先生」発言も、単なる彼女気取りです。悪気は全くない様子。優柔不断な高橋は「迷惑だ」とはっきり言えず、萌奈美に振り回されていきます。

最初に読んだ時、どうにも高橋の気持ちが読み取れず、自分の読解力のなさが心配になったのですが、ある時それも高橋の優柔不断さによるものだと理解して、目から鱗が落ちました。

 

高橋と麻耶の婚約は周囲には秘密なんだけど、萌奈美の彼女気取りはどんどんエスカレート。

卒業までやり過ごしたい高橋と、「萌奈美にだけは話そう」と言う麻耶。しかし、話しても理解しない萌奈美。自分に都合の良いことしか認めない人間だったのでした。

 

萌奈美の暴走は続き、麻耶と仲が良い保健室の田島先生や、実は本当に麻耶のことが好きな岩井は、この状況を何とかしようと高橋に働きかけますが、結局高橋は萌奈美に流されてしまいます。

 

そして遂に、「麻耶との約束をすっぽかして萌奈美とヤる」という最悪の展開に。以降、「セックスしさえすれば、好意を持っているものと相手は勝手に解釈してくれる」(新井先生の作品には、大抵こういう考えを持つ人物が登場します)と、ヤりまくっているうちに、萌奈美が妊娠したと言い出します。

高橋は麻耶に助けを求め、麻耶はその場を収めた上で高橋に別れを告げ、姿を消します。

 

時が経ち、当時の麻耶と同じ年齢になった高橋。あれだけの大騒ぎをしておきながら、萌奈美は結局妊娠はしておらず、この時点ではとっくに別れています。交際中の女性との待ち合わせに向かう最中、「運命」に思いを馳せていると、偶然、麻耶らしき女性を見かけます。追いかけると、女性は色黒で大柄な男性(どう見ても岩井)に駆け寄るのでした。

 

まさに自業自得、因果応報。そして岩井、良かったね!!

私の中では、マイトガインの最終回に並ぶ衝撃でした。

つい面倒になって流されてしまいそうになる場面で、必ず思い出します。

 

付き合い始めの頃でしたが、自他共に認める(義母は除く?)優柔不断の夫に読ませたら、「痛い痛い痛い…」と言っていました。

 

「2人の美女の間で揺れ動く、優柔不断な少年の日常」みたいな話と思っていたら、どんどん泥沼化していくんですもん。

2巻の帯にあった「恋愛底なし沼」というフレーズのインパクト!

残念ながら、現在では絶版のようです。

機会があったら是非読んでみて下さい。