低い声で呟く

横浜市内在住、オタクな3児の母によるブログです。

「シュガーな俺」

1型糖尿病患者である、平山瑞穂先生の小説です。文庫版を探していましたが見つけられず、世界文化社の単行本を購入しました。平山先生が「緩徐進行1型」とインタビュー記事で読み、次女と同じタイプのようなので興味を持っていたのです。

病気についての説明も適度に織り交ぜつつ、主人公、片瀬(33歳)の気持ちがわかりやすく表現されていて、とても興味深かったです。神経質なほどきちんと食事などの生活を管理する様子や、病気の進行と平行して荒れていく気持ちの描写は鬼気迫るものです。また、同時期に入院していた患者達についての描写に「あー、こんな人、いるいる。」と人間観察の鋭さを感じました。

作中で、主人公は二度転院することになるのですが、医師の経験による対応の違いも興味深かったです。次女が診てもらっている病院に今のところ不満はないですが、先生が交代するかもしれないし、十数年後には進学や就職で引っ越す可能性もあるし、そもそもそれより早くに「小児科」とはお別れなのではと考えると、少々不安ではあります。

何より、患者本人が感じている症状を、言葉で読めることがありがたいです。大人と幼児では違う部分もあるでしょうが。微妙な時間に低血糖を起こした場合、「もうすぐご飯だから」などと待たせたくなってしまうこともありますが、本当に辛いんだなぁと。気をつけなければならないと強く思いました。

それから、夫婦喧嘩の様子がとてもリアルでした。夫が怪我で手術して、暫く会社を休んだり再手術で入院したりといったことがあり、「あの時、こんな感じだったなぁ」と苦い思いが蘇りました。病気・怪我をしている方が辛いのは勿論ですが、していない方も、何らかの形でしわ寄せが来て辛いんですよ。で、お互いに「もっと気遣ってくれてもいいんじゃない?」って不満が溜まるんですよね。うちの場合は義母の干渉なんかで更に面倒なこともありましたけどね…。