低い声で呟く

横浜市内在住、オタクな3児の母によるブログです。

「悪の教典」

映画は見る気はないのですが、原作は読みました。結構最近です。映画の宣伝の帯がついて平積みされ始めた頃でした。

ええ、胸糞悪い話ですよ。高校教師によって生徒が大勢殺されるのですから。

一番の大事件はこれですが、「人当たりの良い人気教師の裏の顔」といった感じで、主人公、蓮見が緻密な計画で周囲を陥れていきます。「緻密な計画」とは言ってもアクシデントが多く、綻びを隠し切れなくなって「全員殺しちまえ!」となってしまったのですがね。冷酷ではありますが、言われるほど周到な人物ではないなという感じです。

蓮見の行動に疑問を抱く一部の生徒や、過去に蓮見に陥れられた生徒、それ以外の生徒達も、殺戮が繰り広げられる夜の学校で犯人(蓮見とは知らないまま命を落とした者もいます)に立ち向かう姿は勇敢で、また、生徒達の間にも衝突があったり、恐怖や絶望、無念を思うと読みながら苦しくなってきます。こちらに焦点を当てて映画化すれば、感動的な展開にもなりえたのでしょうね。

貴志祐介先生のファンではありますが、これは悪趣味な小説だと思います。しかしこれが特別にという訳ではなくて、下品だったりくだらなかったり後味悪かったり、短編も含めたら本当に色々な雰囲気の作品があります。

ドラマでは格好良く描かれていた「鍵の掛かった部屋」に登場する劇団なんて、ひどいものですよ、下品で。