低い声で呟く

横浜市内在住、オタクな3児の母によるブログです。

歯の治療中に別の歯が割れたこと

二回、経験がある。なお、ここでの「治療中」は、診てもらっている最中ではなく、治療のために歯科に通っている期間のことである。
一度目のことは、以前書いていた。
https://yoshika1018.hatenablog.com/entry/2015/03/03/161455
このときは奥歯。
二度目は、前歯。今月に入ってからの、土曜の夜に割れた。月曜に予約があったので、それを待つ。仕事中マスク着用、食事は単独で、というご時世で良かった。プールに入るときもプールマスク着用で良かった(「良かった」は、あくまでも今回自分の身に起こったことに対して有利に働いたというだけのことだ、念のため)。プールマスクは透明だが、縫い目があるから見えにくかったと思う。お客さんからは何も言われなかったし、同僚も仮歯を入れた後に言うまで気付いてなかった。もし相手から見えていたら、笑いか憐れみか、何かしらの反応を感じていただろう。ほんと、こんな↓感じ。
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画像は、少年ジャンプ+で連載中、山崎将先生の「歯医者さん、あタってます!」第10話より。単行本では2巻84ページ。
綺麗な絵で、クセのある登場人物たち。ギャグの嵐の中、歯科の知識も織り交ぜられていて、面白いですよ!

「【1型】~この赤ちゃん1型糖尿病です~」

 山田圭子先生の漫画です。ネタバレがありますので気になる方はご注意ください。

 「プリンセスGOLD」連載時は「1型。~1型糖尿病の少女・愛~」というタイトルでした。主人公の愛(めご)は小学6年生なので、どうしてタイトルを変更したのか疑問です。「生活習慣が発症の原因ではない」ということを強調したいということなら一応納得しますが、育児漫画を読んでいる層を狙っているのかと邪推してしまいます。勿論、突然発症し、予防のしようがない病気なので、小さい子がいる方も「こういう病気がある」ということを知っておいて損はないでしょうが、赤ちゃんのイラストや様子を見たくて手に取った場合はがっかりするのではないかと思いました。

帯には「生まれた時から【1型糖尿病】の少女の感動物語!! 」とありますが、回想シーン(?)によると、低体重で出生、微熱と夜泣きが続き、9か月の時に昏睡状態になって救急搬送されたということです。それって「生まれた時から」って言い切れるのだろうか。3~4か月健診では何も言われなかったのかな。まぁ、微熱は「赤ちゃんは平熱が高いから」で済まされていたのかも、などと暫く考え込みました。帯と本の内容が合っていないということもよくあることかもしれないので、あまり気にするべきではないのかな。

連載に先立って発表された読みきり作品「Hello,world」と単行本に纏められるのかと思っていましたが、そちらは入っていませんでしたね。


「Hello,world」 - 低い声で呟く

主人公が1型糖尿病であるという共通点はあるものの別の話ですが、医師の八橋先生は両作品に登場しています。

「Hello,world」は日本IDDMネットワークのホームページで読むことができます。


1型糖尿病の少年を主人公にした漫画「Hello, World」を御覧いただけるようになりました! | 日本IDDMネットワーク 1型糖尿病・1型IDDM

めごちゃんの話に戻ります。

0歳で発症して3歳から自分でインスリン注射を打ってきた彼女は、小6で母と都会に引っ越してきます。学級委員の藤林にいきなり怒られ、カピバラ呼ばわりされ…。お昼の注射を保健室で打っていると下級生の注目を集めてしまい、見に来てはしゃいだ子が棚にぶつかり怪我をするという事態に。めごは責任を感じて、手が震えて注射が打てなくなってしまいましたが、ギャラリーを追い払った藤林が代わりに打ってくれたのでした。藤林は勉強もスポーツもできるイケメン委員長なので、藤林の様子(追い払って保健室に入るところまで)を見た女子グループは、めごに反感を抱きます。めごは病気のことをみんなに理解してもらおうと、放課後に紙芝居で説明しようとしますが、仲良くなった女の子達も例の女子グループに逆らえず、誰も残っていません。忘れ物を取りに来たと言う藤林を強引に引き止め、紙芝居を披露します。伝えられたことを喜ぶめごに、藤林は厳しい言葉を投げかけます。

ここまでで察しがつくかと思うのですが、実は藤林も少し前から1型糖尿病を患っていて、周囲には隠しています。トイレにスポーツバッグを持ち込んでいる描写があるので、その時に注射を打っているのでしょう。子供の1型糖尿病の実態を理解していないと思われる医師から見当違いの指導を受けて母が倒れ、打ち込んでいたサッカーも「受験のため」と辞めてしまったのでした。病院に通わず、八橋先生にメールで血糖コントロール状況を報告し、先生が往診でインスリンを処方している様子(それが実際にできるのかはわかりませんが)。

藤林が辞めたサッカークラブにめごが入り、辞めた責任として藤林がめごの特訓を請け負うことになり。サッカーを通じて、めご、藤林、チームメイト(主にキャプテンの相模)の関わりが徐々に変化していきます。めごと藤林の甘酸っぱい展開あり、男の子同士の爽やかな友情ありで、病気のことを抜きにしても楽しく読めると思います。

始めに、めごは「母と」引っ越してきたと書きましたが、父とは別居であることが終盤で明かされます。もともと、父の実家で祖父母と一緒に農業を営んでいたようです。めごが病気になって、患者会や講演会に参加して農作業を手伝わなくなった母を祖父母は良く思わず、病気の孫を「貧乏くじ」呼ばわり。しかし父母の仲が壊れてしまった訳ではなくて、父はめごの危機に駆けつけてきたし、将来また一緒に暮らせることへの希望が述べられています。母はツアーコンダクターのようですが、八橋先生の評判を聞いて引っ越してきたのかもしれませんね。父は農業法人立ち上げ中とかでしょうかね。想像が膨らみます。

病気をオープンにすることと自分だけで抱え込む(小学生なので両親は仕方ないとして)ことのメリット・デメリット、病気と対照的に付き合ってきた2人がお互いを理解し合っていく様子は印象深かったです。私は自分が発症したとしたら藤林タイプだと思うのですが、そうすることによって周囲に与える影響も具体的に想像できたと感じます。

原因不明の不治の病とは言え、インスリンがあれば普通に生活できる「厄介な体質」といった感じの1型糖尿病を、殊更に難病扱いすることはないと思っていますが、「こういう病気がある」ということ(ついでに個人的には、2型糖尿病の発症原因は生活習慣のみではないことも)が広く知られてほしいという点は、作者の山田先生と同じです。山田先生の益々のご活躍を心から願っています。

「夜明け前と彼女は知らない」

平山瑞穂先生の小説です。単行本の「大人になりきれない」を文庫化にあたって改題したものだそうです。 

夜明け前と彼女は知らない (PHP文芸文庫)

夜明け前と彼女は知らない (PHP文芸文庫)

 
大人になりきれない

大人になりきれない

 

原題の方が内容に合っていると思いますが、平山先生のブログによると、大人の事情があるのだそうですよ。


文庫新刊と、それとは無関係な映画予告編: 平山瑞穂の白いシミ通信

簡単に言えば、本人は「デキる」つもり、周囲からは「イタい」「サムい」と評価されているアラサー3人の主観と客観。そしてその「周囲」ごと観察する、ある一人の後輩の冷ややかな視線。

「都会のデキる女」イメージに身を包みながらも、要領が悪く実態が伴わない野方沙耶。歌は上手いが女の子とサシカラ(サシでのカラオケ)しただけで相手が自分に好意を持っていると思い込む末松徹。気配りできるつもりの察してちゃん、既婚者だが男性にチヤホヤされたい國枝奈央子。3人をそれぞれ一言で紹介するとこんな感じでしょうか。各章の間に「黒いランチ」という、3人への悪口が渦巻く社内のランチタイム風景の描写が挟まれています。悪口は本当に毒々しいし、本人視点の各章でも彼ら自身に問題があるということがはっきりわかります。このドロドロしたイヤーな気分、苦手な人は本当に受け付けないのではと思います。初めて読んだ平山先生の小説「シュガーな俺」で、主人公が一緒に入院していた海野さん(責任転嫁男)や吉成さん(物分かりの悪いおばさん)を評する表現が容赦なく、毒々しくて「うわぁ」と思ったものですが、この本では全編にわたってそういうのが散りばめられています。私はそういうの、ゾクゾクしながら読んでしまう人間ですので……。


「シュガーな俺」 - 低い声で呟く

読みながら強く思ったのは、「新井理恵先生に漫画化してほしい!! 」ということでした。今まで読んできた数々の新井先生の作品に登場する「勘違いキャラ」が次々頭に思い浮かびました。主観と客観で微妙に見た目が違うとか(本人イメージでは美貌の沙耶が、同僚の回想ではメイクで盛っていることがはっきりわかるなど)、各章でモブの一人だった梓沢真帆が最後に心の中で毒吐きながら笑顔で退職していく場面とか、絵になるともっと面白いと思うんですよね。まぁ、最初は奈央子の語りが「ヨタ話」のさゆりっぽいな…と感じて、そこからどんどん連想が膨らんでいったんですけど。 ↓ この猫がさゆり。

ヨタ話 (Betsucomiフラワーコミックス)

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自分もイイ年して大人になりきれているとは言い切れず、過去には色々と「イタい」「サムい」思考や行動をしてきた覚えもあり、主観と客観は食い違うものだと理解しているつもりだけど視野が狭くなってしまうことも度々あり、自戒のためにもたまに読み返したいと思っています。